金属加工業の失敗事例

以前にTPiCS導入をしたが失敗に終わり、全く動いていない状況からバージョンアップすることにより脱出しようと考え、システム導入を行った例を挙げます。

結果としては題名にも書いてある通り、完全運用と言う面からみれば失敗に終わったと言えます。最低限の資材手配や工程間の仕掛在庫把握などはできるようにはなっているが、安定した生産を行うことができるまでいたりませんでした。

導入環境
TPiCS既存ユーザーのバージョンアップ

導入目的
1.動いていないの既存TPiCSをバージョンアップし動かす(TPiCS8を導入)
2.安定した生産
3.工程間の仕掛在庫把握
4.製品の組立可能台数の算出

1.失敗要因
≪登録≫
 マスター作成の基本になるのは"在庫を把握したい""作業指示書を出したい"" 注文書を出したい"と思う箇所を登録することです。しかし、その事が落とし穴になる可能性を秘めています。当然、"在庫を把握したい"と考えると今まで管理していなかったすべての工程間の在庫を知りたいと思いたくなります。知りたければマスターを登録します。
 ここが失敗の第一歩になります。

≪昔からの慣習≫
システムが無いところでは良くあることなのですが、得意先から受注を頂いた時にすぐ行う行動が問題になってきます。大抵、受注を頂いたらどんだけ先の確定受注であっても資材手配から外注手配などを行うと思います。しかし、それはシステムが無いから前もって忘れないように発注を行うのです。
システムがあれば忘れないように発注するのはシステム側で管理することであって人間ではなくなります。人が管理するのは本来の仕事である急な受注があり、どうしても協力企業さんに無理をしてもらう時の交渉や得意先への納期の交渉に力を注ぐことになります。
 失敗の第二歩目です。

≪事務所主体の生産管理≫
 打ち合わせには現場の人たちが参加せず、事務所の担当者しか参加して頂けませんでした。実際に作業をするのは現場の人なのだから意見を聞かなければいけないはずです。しかし、現場が忙しい為に打ち合わせに参加することができない。意見を聞きすぎるのも良くないですが、導入しようとしているシステムの全容を知って頂き、納得する必要があることは確かです。現場の人が研修会や打ち合わせに参加しないことが失敗の第三歩目です。

≪担当者にまかせきり≫
担当者を1人決め、後は任せる。よくあることです。これも失敗する可能性が高い項目になります。

2.失敗説明
≪すべての工程を登録することによる失敗≫
 なぜ、失敗かというと工程をすべてマスターに登録することで作業指示書の枚数は工程の数が多ければ多いほど印刷されます。材料を投入すれば1から3工程目ぐらいまですぐに終わってしまう場合でも3枚の作業指示書がでてきてしまうのです。さらに作業指示書が多いと実績を入力する量も多くなります。作業指示書のチェックと実績入力で日々おわれる毎日が始まります。 まだそれだけなら良いのですが、先々まで確定された作業指示書があるとします。しかし、目先の作業をしている時に不良を出してしまいました。先々の計画を確定してしまっている為にすべて計画調整をしなければいけなくなってしまいます。まだ指示をださなくても良い仕事を出している為に現在の仕事が出来なくなってしまう悪い例です。

≪昔からの慣習の手配業務による失敗≫
 昔からの慣習でまだ発注しなくても良い材料や外注などの手配をしてしまう為、確定受注だが納期は変更がある為に手配の調整に右往左往してしまうことになります。システムに任せて必要な時に必要な分だけ発注を行います。先の手配が変更されてもシステムが調整するのに自分の安心感を得る為に早くに発注確定し余計に混乱してしまうという例です。

≪事務所主体のシステム作成による失敗≫
 現場の人がどのようなシステムを使うか分からないと何故、こんな指示書が出てきたのか。何故、発注書が出てきたのかがわかりません。分からないモノはあまり触りたくありません。システムを触らないということは何時までも分からないままです。事務所の導入担当者は現場から何故、何故、何故と質問攻めにあいます。質問をしてくれている内は良いのですが、質問もしなくなり自分勝手に手書きやEXCELなどを使った計画表や在庫表などを作成し管理をし始めます。  現場無視の結果、招いた事例です。

≪担当者1人のみによる失敗≫
 担当者が1人だけでシステム導入を進めているため、何か分からないことがあっても社内の中で相談する相手がいません。システムの事を分かっている人がもう1人でもいれば最初から説明しなくてもどのように進めていけば自社にあっているかを一緒に考えることができます。よっぽど担当者が現場のことも良くわかり、システムの事もすぐに理解し、社内の説得もできる人なら1人でもかまいませんが、できることなら2人でやることをお勧め致します。システムを1人で抱えこみ、どうしようも無くなる前に考える必要があると思います。

3.結果
導入目的である2を除いた形で目標は達成できましたが、やはり失敗といえるでしょう。安定した生産を実施する事ができない理由として一番、やっかいなのは頭の中にある"昔からの慣習"です。マスターは登録を変更すれば良いだけですが、今までこれで会社はやってこれたのに何故やりかたを変えなければいけないのか。CASE02のように運用を変えなければ生き残っていけないと実感するほどでは無かったのかもしれません。必ずと言って良いほど得意先は内示と確定方式の受注に変更して行きます。変わってからでは遅いです。前を向いて行きましょう。